事例・ニュース

24時間利用可能・無人運営をITの力で実現!みんなの公共冷蔵庫「北長瀬コミュニティフリッジ」

  
  • kintone
  • イベント
  • チーム応援


24時間人目を気にせず食料品・日用品をとりにいける日本初のみんなの公共冷蔵庫「北長瀬コミュニティフリッジ」におけるkintone活用について、一般社団法人北長瀬エリアマネジメントの新宅 宝(しんたく たから)さんにお話しいただきました。

(当記事は2021年12月開催「チーム応援カフェ」の内容を再構成しています。)

北長瀬コミュニティフリッジとは?

新宅 : みなさん、はじめまして。一般社団法人北長瀬エリアマネジメントの新宅と申します。

01_kintone-communityfridge(810).jpg

私たちは岡山駅から一駅離れた北長瀬駅前エリアの商業施設、公園などを含めたエリア全体が、もっと暮らしやすくて日々がわくわくするような、そんな場所になることを目指して、シェアスペースの運営やさまざまなプロジェクト、個人のチャレンジや起業支援、イベントの開催に取り組んでおります。

今回ご紹介する北長瀬コミュニティフリッジは、食料品・日用品の支援を必要とされる親子が、時間や人目を気にせず、24時間都合が良い時に提供される食料品・日用品を取りに行ける仕組みです。2020年11月からスタートしました。ITの力を使って、24時間利用可能、そして無人運営を実現しています。


02_kintone-communityfridge(810).jpg

「グッドデザイン賞2021」ではグッドデザイン賞ベスト100に選ばれました。「誰も無理しないようにICTで無人化する」という点も評価していただきました。私たちもITの力によってこの取り組みを継続できていると思っています。

2021年グッドデザイン賞ベスト100に選ばれました!2.jpg

コミュニティフリッジの仕組みと5つのポイント

新宅 : 北長瀬コミュニティフリッジの仕組みをご説明いたします。


北長瀬コミュニティフリッジ5つのポイント.jpg

寄付者のことを私たちは「フードプレゼンター」と呼んでいます。企業・団体、個人のかたに食材や日用品を寄付していただいて、賞味期限などの安全管理をした上で、コミュニティフリッジと呼ばれる冷蔵庫設置の倉庫に格納します。生活困窮家庭のかたが、このコミュニティフリッジにある食材や日用品を取りにくるという仕組みです。

この仕組みにはポイントが5つあります。

ポイント1、提供する家庭は登録制。まず利用者には登録フォームから児童扶養手当などの証明書を添付して登録していただきます。事務局で確認して問題なければ登録完了です。

ポイント2、駐車場直結で、人目を気にせず24時間。商業施設の駐車場が24時間運営していて、北長瀬コミュニティフリッジも24時間利用可能です。

ポイント3、電子ロックとデータベースで、寄付品管理。無人運営ですが、利用するかたはドアを開け閉めできる権限が付与されたスマートフォンのアプリで、冷蔵庫設置の倉庫にいつでも自由に入っていただけます。また誰がいつドアを開けたのかという記録もすべてこちらに残っています。

ポイント4、提供者も原則、登録制。基本的に寄付者のかたも登録制です。

ポイント5、遠隔地からインターネットでも寄付できる仕組み。コミュニティフリッジでは現地まで商品を持ってきてもらうことを「寄付」と呼んでいます。一方で、現地まで持ってきていただくことが難しい場合には、インターネットで購入してそのまま届けられるような仕組みも導入しています。

kintoneの活用について

新宅 : つづいて、運営システムについてご説明いたします。


北長瀬コミュニティフリッジの運営システム.jpg

「寄付者リスト管理」「利用者リスト管理」「在庫管理システム」にkintoneを使っています。こちらはkintoneエバンジェリストの細谷 崇さんに作っていただきました。


北長瀬コミュニティフリッジの運営システム2.jpg

こちらは実際の写真です。スマートフォンのアプリで冷蔵庫が設置されている倉庫のドアを開閉できます。寄付者・利用者名簿にkintoneを利用しています。また、寄付いただいた物資の在庫もバーコードのスキャナーを使ってkintoneで管理しています。


北長瀬コミュニティフリッジの運営システム3.jpg

フードプレゼンターのかたが事務局まで寄付商品を持ってこられたら、事務局で受付をします。バーコードで検品をしてから、品出しをする流れです。

実際の様子①(フードプレゼンター)

フードプレゼンターの協力.jpg フードプレゼンターの協力2.jpg

実際の様子②(事務局の役割)

事務所で管理.jpg 検品後コミュニティフリッジへ.jpg 寄付の受け入れ、環境管理.jpg

実際の様子③(利用者の利用方法)

事務所で利用登録.jpg 必要なものを必要な数持ち帰れます.jpg 持ち帰る品物はレジで登録.jpg

アナログな取り組みも大切に

新宅 : ITの力を駆使して運営していますが、一方でアナログなところも必要だと思っています。

実際にコミュニティフリッジ内には利用者が感謝の気持ちをお手紙のように付箋に書ける「コミュニケーションボード」を設置しています。寄付していただいたものが、利用者にちゃんと届いていることを見える化するために企画しました。

たとえばパンをお届けしたら、利用者のみなさんは「パン、ありがとう」と正直に書いてくださるので、寄付者のみなさんもそのコメントを見て、「自分が届けたパンなのでは」「また寄付しよう」と思ってくださり、実際に寄付のリピートはかなり多いです。「やってよかった」という励みやリピートのきっかけになっています。


繋がるコミュニケーションボード.jpg

今後の展望 ー ノウハウ移転

このコミュニティフリッジの仕組みは、少しずつですが全国に広がりを見せています。北長瀬エリアマネジメントではそのお手伝いをしながら、他地域の団体との関係構築をしています。(2024年3月時点で14か所に開設)

編集後記

最後までお読みくださりありがとうございました。北長瀬コミュニティフリッジの取り組みの概要や、その裏側で実際にどの部分にkintoneが活用されているのかなどについてお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?

北長瀬エリアマネジメントは運営ノウハウやシステムのご支援もされていらっしゃいます。詳しくは「コミュニティフリッジネットワーク」をご覧ください。

本記事が少しでもみなさんのお役に立てれば幸いです。

執筆 : Ryota Yasuda 編集:チーム応援プログラム事務局