NPOならではの機動力で難民を支援──膨大なメールや紙からの脱却【AAR Japan〔難民を助ける会〕】
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本記事では「NPOのチーム運営とIT活用セミナー」で認定NPO法人難民を助ける会〔AAR Japan〕の大塚麻子さんに発表いただいた事例をお届けします。
世界17カ国で困難な状況にある人びとを支援
難民を助ける会で総務と経理を担当している大塚と申します。今日は「サイボウズ Office」の活用事例を紹介させていただきます。
難民を助ける会は1979年にインドシナ難民の支援を目的に設立された団体です。創設者の相馬雪香が67歳のときに設立し、今年で38年目になります。
現在は、シリアなど17か国で紛争や災害などで困難な状況にある人びとの支援をしています。
私たちはNPOならではの機動力をいかして、支援の網から取り残されてしまいがちな人たちのために活動しています。
紛争、災害などが起きた時の緊急支援のほか、ミャンマーでは障がいのある方の自立を支援する職業訓練校を運営しています。アフガニスタンとスーダンでは地雷の除去活動や、地雷の被害にあわないようにするための教育をおこなっています。
ザンビアとスーダンではHIV/エイズなどの感染症予防の活動や、エイズで親を失った子どもたちの支援をしています。
日本では東日本大震災や熊本地震の被災地で障がい者施設の再建、高齢者や子どもの支援に取り組んでいます。
このような活動について知ってもらえるように活動報告会、出張講演会、訪問学習の受け入も行っています。地雷についての絵本やグッズ、六花亭にご協力いただいたチャリティーチョコレートなども販売しています。
組織内で飛び交う膨大なメール
日本人スタッフは東京では57名、海外では30名います。
昨年の4月に「サイボウズOffice」を導入しましたが、それまでは無料のサイボウズLiveを使っていました。
人数の少ないグループなどの場合はサイボウズLiveで十分だと思いますが、事業用に50名を超える人数で使うにはサイボウズLiveは難しいと感じていました。
サイボウズLiveでは会議スペースなどの施設共有とスケジュール管理を使い、主な情報共有のツールはメールでした。毎日膨大な数のメールが飛び交っていました。
メールの数が多いため、例えばお知らせ的な内容のものは、重要ではあってもどうしても読み飛ばされがちでした。
長期出張をしていた人や新しく入ってきた人と、どのように情報共有するのかも課題でした。
回覧中の紙が書類の束に紛れてしまうことも
古くから活動している団体であるがゆえに、紙の報告や回覧が多いことも課題です。
物品購入のとりまとめや送別会などの行事の出欠も紙で行っていたので、担当者は数えて集計するのが手間でした。長期出張者の書類の束の中に回覧の紙が埋もれていた、ということもよく発生していました。
掲示板で最新情報を共有、電話対応がスムーズに
「サイボウズ Office」の導入当初は、スケジュール、施設予約、掲示板、ファイル管理を使用しました。
期待以上に活用できたのが掲示板です。掲示期間を指定することもできますので、その時その時にみるべき情報をスムーズに伝えられるようになりました。
例えば、チャリティーチョコレートの注文が多くなるバレンタインの時期は、チョコレートの在庫数や注意事項などの最新状況を全員が共有することが必要です。
サイボウズの導入前は、新しく情報が更新されるたびにメールで連絡していたのですが、メールの数が多いため、どのメールの内容が最新情報なのか分かりにくいことが問題でした。
今シーズンは、最新情報を掲示板で共有することにしました。掲示板の「トップに出す」機能を活用すれば、常時トップ画面に掲示板の投稿をいつも表示しておくこともできるので、電話での注文受付時にもスムーズに対応できるようになりました。
備蓄品の管理アプリは買い替え時期を知らせてくれる
カスタムアプリ(※)もここ数カ月で使い始めましたが、Excelファイルの置き換えにとどまらず通知機能やアクセス制限もあり非常に便利です。
※カスタムアプリ:業務にあわせたアプリケーションを自由に作成できるかんたんなデータベース機能
常時の備蓄品の管理にカスタムアプリを使っています。
写真表示もできるので備蓄品がどこに保管されているのが誰でもわかるようにできます。スマホなどでもみることも可能です。
備蓄品の管理で手間なのは、使用期限が切れる前に買い替えなければいけないことですが、カスタムアプリには通知機能があるので便利です。
例えば使用期限の2カ月前に通知すると設定しておけば、その時期になると通知がきますのでメンテナンスのし忘れを防止できます。
団体内行事の出欠とりまとめもスムーズに
カスタムアプリは事務所内行事のとりまとめにも使っています。
例えば、団体内で食事会を行うような場合、以前なら、お店でもらったメニューの紙を回覧し、一人ひとりに書いてもらい幹事が数えて...という作業がありました。カスタムアプリで各自がメニューを選択できるようにすれば、集計機能があるのでいちいち数える必要がありません。幹事のとりまとめが楽になりました。
一覧のビューも変えられます。名前と金額を表示するようにすれば、会費の回収のときも便利です。
アクセス権も設定できアンケート集計も効率化
事務所内のアンケートもカスタムアプリのアクセス制限の機能を活用できました。
有給休暇の取得状況御改善するために、取得日数の少ない人に対して、有給休暇の取得意識調査を行いました。
プライベートに関するアンケートなので、他の人が回答をみられないようにする必要があります。従来なら、質問用紙を紙で配って回収するか、個別にメールで回答してもらうしかなく、集計も手間でした。
カスタムアプリでは、他人に回答をみられないように設定できるので非常に便利でした。 次は、健康診断の希望検査メニューの取りまとめにも使いたいと思っています。
災害発生時に備えた連絡先情報も管理
災害発生時のためのメールアドレスの管理にも使っています。海外事務所などの連絡先をまとめていますが、パスワードも登録しているので、管理職だけがみられるようにアクセス権を制限しています。
現在、申請・承認の業務はほとんど紙で行っています。例えば、休暇申請は紙で出していますが、紙だと申請状況が分かりにくいことが問題になっていました。カスタムアプリにすれば、申請・承認状況もすぐに分かりますので、今後は申請・承認の業務にも活用していきたいです。
便利なグループウェアですが、「サイボウズNPOプログラム」(NPO法人向けの特別割引)がなければ導入するのは難しかったと思います。
私たちNPOはメインの支援活動を中心に資金を使うので、グループウェアなどの管理面に費用を割くのは、どうしてもハードルが高くなってしまいます。
サイボウズさんよりこのような形で活動を側面から支援していただけることは本当に心強いことです。心から感謝しています。
本日はありがとうございました。 イベント当日はサイボウズが購入したチャリティーチョコレートを参加者さまにお配りしたほか、終了後多くの方がお買い求めになっていました。 AARオンラインショップでは様々なチャリティーグッズの販売をしています。