Case
事例
ホームレスの自立を支援、誰もが生きやすい社会へ!──バラバラな勤務体系でも連携がスムーズに【ビッグイシュー基金】
左より)谷平ゆかりさん、粟原奈津子さん、林直美さん、川上翔さん
ビッグイシュー基金は、ホームレス状態にある人びとの自立をサポートしている認定NPO法人です。雑誌売上の50%以上を販売者であるホームレスの方の収入にする『ビッグイシュー日本版』を発行する有限会社ビッグイシュー日本を母体に設立されました。
就業支援のほかに1000人を超えるボランティアの方々と全国各地で『路上脱出ガイド』を配布するなど医療・生活の支援やスポーツ・文化交流、政策提言など誰もが包摂される社会に向け多面的に活動しています。
拠点は東京・大阪の2か所。事務所は元日以外は開いておりスタッフは一同に出社せず様々なパターンで勤務しているそうです。今回は大阪事務所に訪問し、スタッフ間の連携に「サイボウズ Office」を活用している様子を伺いました。
東京・大阪間の情報共有を効率よくしたい
──「サイボウズ Office」を選んだ背景を教えていただけますか?
「サイボウズOffice」を導入したのは、東京と大阪の情報共有を効率よくできるのではないかと思ったからです。
それまでは東京・大阪の予定はレンタルサーバーに無料でついていたグループウェアで共有していました。部署単位だったので個人の動きまでは把握できていませんでした。
東京では無料の「サイボウズLive」も併用していたので全体でも「サイボウズを使いたい」という声がでるようになりました。そんなころ「サイボウズNPOプログラム」(NPO法人向けの特別価格)を知りグループウェアは「サイボウズ Office」に統一することにしました。
どういう動き方をしているか把握しやすくなった
──使ってみていかがでしょうか?
東京と大阪のスケジュールやタスクの共有が以前よりはるかにやりやすくなっています。スケジュールとタスクも連動していてみやすいです。
予定だけでなくどういう仕事、動き方をしているかがより把握できるようになったのがよかったです。スケジュールと施設が連動しているのも便利です。
グループで予定が一覧できるスケジュール画面
全員がフレックスなので何時ぐらいまでいそうなのかを確かめられるようになりとてもよかったです。会合の調整も前よりスムーズです。
予定の調整画面。施設と参加者を同時に登録できるようになった。
ログイン時を出社とするタイムカード機能を使っています。在席確認をトップページにパーツとして追加したので、スタッフが何時に出社したか見えるようになりました。
いままでは『○○さんは来ている?』と電話をしていたのが、する必要がなくなり嬉しいです。
──皆さんが柔軟な働き方をしているのですか?
東京、大阪とも一同に出社して一同に退社する勤務形態ではありません。朝7時から出ることもあれば夜回りにいくときもあります。個人のなかだけでも4パターンぐらいあるのです。
そもそも事務所がしまるのは1月1日しかありません。シフトが変則的でみなバラバラに働いています。
──スケジュールのコメント機能は使っていますか?
はい。例えば「ボランティア説明会」の申し込みメールがきたときに、コメント欄に「参加者○○さんが増えました」と状況を書きこみ「いっぱいになりました」などとやりとりしています。
■貧困問題のネット記事やガイドラインを掲示板で共有
──掲示板などは使っていますか?
掲示板は事務連絡に使っています。ほかにもメールや電話をするまでではないけれど共有しておきたいことにも使っています。例えば貧困問題やホームレス問題、キャンブルやアルコールの依存症などに関してネット記事やガイドラインを共有しコメントを書き込んだりしています。
■多様なタスクを整理し見える化
──カスタムアプリは使っていますか?
カスタムアプリはタスク整理に使っています。
医療や住居のサポート、政策提言など一人がいろんな案件を同時に行っているのですが、項目を分けて見える化をしています。
大阪ではタスク整理にカスタムアプリを活用している
■日報の共有で不在の人とも連携がスムーズに
東京はカスタムアプリで日報をつくっています。
「今日の実績」と「明日の予定」をいれています。いままではメールで日報の集約をしていたのですが「サイボウズOffice」に移って共有のレベルがあがっています。メールより圧倒的にみやすいです。
支援対象の方に関するできごとを、いなかったスタッフとも共有しやすくなりました。ビジュアル的にもすぐわかるようになりました。
東京では日報をメールからカスタムアプリに移行した■『路上脱出ガイド』改訂作業をプロジェクト機能で管理
『路上脱出ガイド』大阪版。札幌、東京23区、京都、福岡、熊本版がある。PDFでダウンロード可能。
『路上脱出ガイド』として路上生活をしている人たちに、無料でご飯が食べられる場所や医療の情報、ホームレスにならないためにどうしたらいいかなどの情報をお渡ししています。
改訂が定期的にあるものなので改訂時のフローの蓄積や掲載団体のリストアップにプロジェクト機能を使っています。
プロジェクト機能で『路上脱出ガイド』の改訂作業を管理
■見えにくくなっている生活困窮者
──今後はどのようなことを予定しているのですか?
年々、路上生活者は減っているといわれています。厚生労働省のデータで『ビッグイシュー日本版』が創刊された14年前は2万5000人程度でしたが、いまは6000人ぐらいです。
活動していても路上で生活している人は減っているのを実感しています。
昼は公園で寝て夜はネットカフェにいるなど、定住するところがなく困窮している人たちはいるのですが、姿が見えにくくなっています。そういう人たちにどうアプローチしていくのかが今後のビッグイシュー基金としての課題です。
「サイボウズOffice」に関しては東京、大阪それぞれに試行していいものを共通で使えたらいいなと思っています。コアなボランティアさんの一部を招待しサロンの予定なども共有していきたいです。
現在、寄付者管理や会員管理は他のクラウドサービスを使っていますが、アクセスするメンバーは限っています。全体での事業に関しては、全スタッフでサイボウズをもっと活用することでさらにレベルアップできるのではと思っています。
──今後も課題解決の最前線でサイボウズ製品がお役に立てれば幸いです。貴重なお話しをありがとうございました。