Case
事例
キントーンで重すぎたPTA活動の負担を軽減「秒で解決」【横浜市立勝田小学校PTA】
キントーンを導入し、PTA活動の負担を軽減した横浜市立勝田小学校PTA。お話しくださったのは、同PTAの元役員、川嶋 果(かわしま このみ)さんです。オンライン交流会「チーム応援カフェ」で共有いただいた内容を再構成してお届けします。
「紙の多さ」にモヤモヤしていた
川嶋さんがPTA役員になったとき、まず驚いたのは「紙の多さ」でした。引き継ぎは紙ベースでデータ共有はUSBメモリ。最初の1年間は前年通りのやりかたを引き継ぎましたが、元SEということもあり「せっかく関わったのだからなんとかしたい」とモヤモヤしていたそう。
毎年、委員の選出にも手間がかかっていました。「希望調査アンケート」というプリントを子ども経由で保護者に配布&回収。集計して委員を選出したら、「決定のお知らせ」というプリントを、これまた子ども経由で保護者に配布するという流れです。
およそ1か月半の間、PTA役員は学校に何度も足を運ばねばならず、またPTAのプリントを見ていない保護者に連絡を取ったり、委員を辞退する保護者が出たときアンケートをもとに再選出したりする作業も大きな負担になっていたといいます。
こういった負担を軽減するため、「PTAでも安価に使えるオンラインツールはないかな?」と調べ始めた川嶋さん。そこで見つけたのが、キントーンを利用したPTA'S(ピータス)の【PTA専用アプリパック】でした。「チーム応援ライセンス」の利用料(年額9,900円)なら予算が少ないPTAでも導入できそうです。
さっそくトライアルしてみたところ手応えを感じ、導入を考えていることを学校に伝えると、校長先生も興味を示してくれました。そこで、PTAに関わる保護者と教職員みんなが使える設計を意識して試作版を作り、ブラッシュアップしていくことに。
個人情報は極力取り扱わないことに
設計にあたって重視したのは「個人情報は極力取り扱わない」という方針でした。PTAでも名簿を扱うことがあると思いますが、これまでは個人情報が紐づいている名簿を扱う場合には、持ち帰りの作業ができず、すべてPTA室にあるPCでの作業となっていました。そのため、担当者の負担が大きかったことが一番の理由です。
会員がキントーンに登録する際に入力する情報は、事前に配布したIDと仮パスワードのみとしました。メールアドレスや住所、電話番号などの個人情報は一切不要にしたのです。その結果、登録率は開始2日目でなんと50%、4か月後にはほぼ100%の登録が達成されたということです。
PTAに入っていない家庭もキントーンに登録しており、先生たちも全員アカウントを持っているそう。さまざまな意見や要望に応え少しずつバージョンアップしてきたスムーズに登録が進んだ秘訣
登録がスムーズに進んだ要因はほかにもありました。キントーン導入にあたって、PTA役員からA4表裏1枚にカラーでまとめたわかりやすい資料を配布。さらに、動画マニュアルの作成、「質問箱」の設置、個別相談会の開催、外国語への対応など、さまざまなサポートを提供してきました。
スマホでログインする人が多いので動画マニュアルはスマホ版を作成。YouTube上で限定公開すると「操作がわかりやすい」と保護者らに好評だった。「最近は無料の動画マニュアル作成ツールもいろいろあるんですよ」と川嶋さんさらに、コロナ禍で導入した健康観察アプリや見守りアプリなど複数のツールをすべてキントーンに集約することに。すると、印刷代がかからなくなったことに加え、アプリの利用料も減り、年間約10万円もの経費をカットできました。
勝田小PTAで使っているキントーンのPC版の画面キントーンに登録するとどんなメリットがあるのかも丁寧に説明しました。活動のため学校へ足を運ぶ負担を減らせること、児童名をベースに名簿を管理するのでメールアドレスや電話番号といった個人情報を確実に守れることなどです。
委員選出は「秒で終了」
さて、キントーンを導入して、PTA活動の負担はどのように軽減されたのでしょうか。
まず委員選出については「秒で終了するようになった」と川嶋さんは言います。以前はプリントで700枚配布していた「希望調査アンケート」はアンケートアプリから一斉配信し、回答集計もキントーン上で行えるように。絞り込みの機能を使えば、たとえば「学年委員を第1希望にしている人だけ」を抽出するといったことも簡単にできます。
委員に決まったことを保護者に通知する際は、「個別のお知らせ」アプリを使います。このアプリはコメント機能を利用しているため、お知らせを受けた人がPTAに質問や意見を伝えることも可能だそう。「委員を引き受ける際の不安感を解消していただけるのではないか」と川嶋さんは話します。
アンケート集計の動画。「どの委員が人気か」といった情報も簡単にグラフに起こして可視化できる PTAからお知らせがあると登録者のスマホに通知が届く。質問があるときは、コメント欄で担当の保護者とやりとりする「校外委員」が担当してきた集団登校や旗振り当番の運用でも、手間を減らすことができました。以前は児童が転入してくるたび、名簿を管理する各地区の担当者が学校へ足を運ばなければなりませんでしたが、導入後はその必要がなくなりました。
転入児童の保護者も活動に参加しやすくなりました。まずPTAが用意したGoogleマップ上で集団登校の集合場所や登校ルートを確認し、自宅に近い場所を探してキントーン上で参加申請すれば、「個別の連絡」アプリを通じて校外委員の地区担当者と連絡を取れます。
PTA活動全般の見直しにもつながってほしい
引き継ぎもしやすくなりました。委員会ごとに「資料箱」アプリを用意し、議事録など作成した資料を登録できるようにしたのです。コメント欄を使って注意事項を添えられるので、以前よりいっそう細やかな引き継ぎが可能になったとのこと。
「資料箱」はスマホからいつでもアクセスできる点も保護者に好評です。テキストベースの資料であればスマホからでも作成でき、パソコンが得意でない保護者も操作しやすいので、「作業分担もしやすくなるのではないか」と川嶋さんは考えています。
「各委員さんの動きをPTA役員や学校側が把握しやすくなったので、今後はPTA活動全般の見直しにもつながっていくといいなと願っています」(川嶋さん)
なお、キントーンの導入時にはGoogleフォームによる「質問箱」を設置しました。「キントーンにログインできない」といった問い合わせが増えると予想したからです。やはり「スマホを機種変更して、パスワードがわからなくなった」といった問い合わせが、月に数件程度来るということです。
「質問箱」設置後の問い合わせ件数。導入初期や新学期はやや件数が多かったが普段は1、2件程度の月が多い。「古いOSのスマホでキントーンのアプリがうまく動かない」という問い合わせもあったが、サイボウズのサポートで解決できたそう 「みんなを巻き込む」「最初から完璧を求めない」ことも導入時のポイントだと川嶋さん最後に、川嶋さんからこんなメッセージをいただきました。
「わからないことは外部にもどんどん相談してみるのがおすすめです。地域のPTA交流会で他校のPTAに相談したり、ピータスやサイボウズに問い合わせるのもいいと思います。デジタルツールをうまく活用して、みなさんも負担の少ないPTAを目指していきましょう」
川嶋さん、参考になるお話をありがとうございました!