動員数のべ24万人の超大型LGBTQ+イベント!プロボノたちの働きをメール共有サービスでサポート【特定非営利活動法人東京レインボープライド】
- NPO
- サイボウズ Office
- チーム応援
- メールワイズ
代々木公園で毎年ゴールデンウィークに開催される「東京レインボープライド」。LGBTQ+をはじめとするセクシュアル・マイノリティの存在を可視化しようというイベントで、この時期、渋谷は街一帯が華やかなレインボーカラーで彩られます。
このイベントを主催する特定非営利活動法人 東京レインボープライド(以下TRP)では、メールワイズやサイボウズ Officeを導入しているとのこと。どんなふうに使っているのか、副代表理事でITを担当する堂本直樹さんこと「どーも」さんに教えてもらいました。
メールを担当者に引き渡せるようにしたかった
のべ動員数、約24万人(2023年)。東京レインボープライドが行われる2日間、フェスティバル会場となる代々木公園には団体や企業のブースが立ち並び、ステージでは次々とパフォーマンスが披露されます。2日目にはパレードも行われ、沿道は声援を送る人々でいっぱいに。
このイベントを主催しているのが、特定非営利活動法人 東京レインボープライドです。2012年の設立以来、その規模はどんどん拡大しています。2020と21年はコロナ禍のためオンライン開催でしたが、2022年には代々木公園でのイベントを再開し、4年ぶりに入場制限がなくなった今年はついに過去最大の動員数となりました。
そんなTRPで使われているのが、チームでメールを一元管理できるメールワイズです。設立当初はGmailなど無料のメールサービスを使い、ひとつのメールアドレスを共有していたのですが、法人化されてメンバーが増えてくると、いろいろと課題が出てきました。特に困ったのは、まだ対応していないメールなのに誰かがメールを開いて「既読」にしてしまい、届いたメールが放置されてしまうといったケースです。そのためチームごとにメールアドレスを割り当て、グループメール形式にすることに。
そこで、どーもさんが各種ツールを検討した結果、選んだのがメールワイズでした。
「メールの種類ごとに、ほかのチームに引き渡せる機能があったことが一番の理由です。確認者から担当者にメールを移動できるので、メールが放置されることがなくなりました。通知が来るので担当者の見落としも減って、問題が大きく改善されたかなと思っています」(以降のコメントも含めすべてどーもさん)
現在運用しているメールアドレスは、一般問い合わせ用、営業用、広報用、サポーター用、ステージ用など、全部で15種類ほど。メールスペースは上限があるため、いっぱいになったらスペースを追加していき現在3つを使っています。「チーム応援ライセンス」のおかげで、安くすむのも助かっているということです。
あえて権限を分け、見られるメールを制限
メールワイズのアカウントは、主要メンバー約25人全員に付与しています。ただし「営業メンバーは営業のメールを見られるけれど、ほかのチームのメールは全部ではなく関連するものだけ見られるように」アクセス制限をしています。
「メリットとデメリットとがあると思いますが、みんなほかに本業を抱えながらTRPで活動しているので、関係ないメールまで見ないですむようにしています。なんでも見られると、『見なくてはいけない』になってしまって、負荷が高まるので」
TRPのメンバーはどーもさんを含め、ほぼ全員がプロボノです。会社員もいれば自営業者もいてTRPとのかかわりかたも業務量もそれぞれ異なるため、このような運用をしています。
2022年には、主に支払や伝票処理などのワークフローのためにサイボウズ Officeも導入しました。
「メールやチャットで知らせるだけだとどうしても忘れられやすく、申請漏れや処理漏れが起こりがちです。そこで承認フローがしっかりしているツールを探していたところ、ぴったりの機能があったので導入しました」
最近は2024年1月から始まる電子帳簿化に備えて、伝票を起こしてワークフローに登録して記録を残す、といった使いかたもしています。
一方、スケジュール機能はTRPとしては使用していないそう。みんなプロボノなので勤怠管理の必要がないし、それぞれ本業で使っているツールもあるため、自主性に任せています。
やめる人は少ないけれど、それでもまだまだ人が足りない
TRPは、ほかに本業をもつ人たちが集まっている点が、大きな特徴です。
「チャットツールにアクセスする時間帯も本当にバラバラですね。日中に本業がある人は夕方から夜中にアクセスするし、自営の人などからは昼間にメッセージがくる。だから、一部の人は朝から晩までメッセージを見なくてはいけなくなっています。
いつでもメッセージできるのがツールのメリットですが、それが逆に非効率になるところもある。なので、仕事をしない時間帯を設けたり、なるべくチームごとに業務を完結させたりしてもらったりして、全体へのメッセージを減らすようにしています」
メンバーの状況がこれだけバラバラだと業務の引き継ぎも混乱しそうですが、そういった問題はいまのところ起きていないとのこと。
「そもそもTRPを辞める人がほとんどいないんです。その人が可能な範囲でかかわってもらうので、増えることはあっても減ることがない。入ってくる人はみんな『TRPを使ってLGBTQ+の暮らす環境をもっとよくしたい』といった『思い』を持つかたばかりなので、ありがたいことにいなくならないんです」
いまはむしろ、業務量に対して人がまったく足りておらず「あと5倍は人を増やしたい」と、どーもさんは話していました。
いまリーチできていない層にもリーチしていきたい
これからTRPでやっていきたいことは、たくさんあります。そのひとつは「課題の解消」。TRPの3つのミッションである「可視化」「場づくり」「課題の解消」のうち、世間一般への当事者の「可視化」と、当事者同士が集う場を提供する「場づくり」はある程度進んできたので、今後はもう少し「課題の解消」にも踏み込んでいきたいと考えています。
ただし、LGBTQ+の課題はとても多岐にわたるため、どこから取り組んでいくのか、判断が悩ましいところ。
「いまリーチできていない年代やコミュニティにもTRPの存在を知ってもらい、声を採り入れてきたいと思っています。いまTRPのコアメンバーは、平均年齢が30代後半くらいなので、最近は意識して10代後半~20代前半の声も聞くようにしています。若い世代は自身のセクシュアリティ―をオープンにする人が増えてきた一方で、息苦しさ、暮らしにくさを感じている人もいると思うので。
逆に、上の年代の人たちとのコミュニケーションも課題です。LGBT+という言葉すらない時代に生きてきた世代の人は、本意でなく結婚していらっしゃる人や、『そっとしておいて』という人もいます。一方『人生の最後くらい、ありのままの自分でいたい』という人もいるので、そのような人に対してはリーチしていけたら、ということも考えています」
最後に、「チームで思いを共有するために意識していることは?」とお尋ねすると、
「やっぱり、フェイストゥフェイスですね。コロナの2年間でわかったのは『会わないと温度が伝わらない』ということ。これはイベントに来てくださる人も同じ意見でした。ただ、なんでもかんでも会って物事を進めるというのは効率的でないので、そこはやっぱり、これからも情報共有としてのツールをうまく使っていきたいです」
来年のTRPまで、もうあと約半年。準備はすでに始まっています。TRPの皆さん、これからも応援しています!