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マンション管理組合のキントーンの導入で「利便理性向上、業務効率化、三密回避」を実現!【若葉台ワルツの杜団地管理組合法人】

  
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若葉台ワルツの杜団地管理組合は、東京都稲城市にある845戸のマンション管理組合です。コロナ禍にキントーンを導入し、三密回避をしながら利便性を向上したという事例について、デジタル化推進委員会の中田 中さんにお話しいただきました。


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中田 中(なかた あたる)さん/19年間IT業界で勤務し、結婚・子育てを通じ地域活動に目覚め、2011年から市議会議員に。マンション管理組合をはじめ、自治会や消防団、夏祭り実行委員会など、幅広く取り組んでいる。

若葉台ワルツの杜について

2000年の竣工当初は30〜40代の子育て世代が中心でしたが、現在は子育てが一段落したシニア世代が中心で、パソコンやスマホが苦手な高齢者も多いです。管理組合業務のうち、管理費の引き落としは管理会社のシステムで運用されていますが、住民向けのサービスはシステム化されておらず、紙と対面によるものがほとんどでした。総会の出欠も紙で提出されたものを、管理人さんが一つ一つエクセルに打ち込む状況でした。会議室、キッチンルームや宿泊施設といった共用施設の空き確認や予約申し込みは、住民が共用棟の窓口に来て、ノートに記入して管理していました。


現在のキントーン活用状況

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2021年8月にキントーンの利用者登録を開始して、1年8か月経過しています。845戸中696戸(82.4%)が登録し、667戸(78.9%)が少なくとも1度ログインして利用しています。

2022年6月に総会の出欠アプリを導入すると、かなり登録率が上がりました。また、3年に1度総入れ替えをする駐車場の申し込みもアプリでできるようにしました。駐車場の総入れ替えは住人にとって重要なイベントなので、ここでも登録率が上がりました。 ほぼ8割のかたが使っているというのは、登録率としてはかなり高いのかなと思います。


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皆が使ってくれる、作ると便利そうなアプリから着手して、1年半ほどで21のアプリを作成しました。今まで住民が窓口に行かないとできなかった手続きをアプリに移行したという部分が、一番大きいところなのかなと感じています。


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ポータル画面にはアイコンを配置してわかりやすくしています。トップメニューには、なるべくそのときに知っておいたほうがいい情報を掲載しています。

キントーン導入前の状況

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キントーンの導入前は、共用棟に行かないとできないことが多すぎました。日中に来ることが難しいというかたもいますし、紙だと家に帰らないと見られないかたもいます。コロナ禍なので来場者を減らす三密対策も必要でした。

キントーン採用の決め手

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採用の決め手は3つあります。まず低コストであることです。マンションは845戸だからチーム応援ライセンスの900ユーザがちょうど良い、ということになりました。無料の試用期間があるのも、事前に検証するときに非常に有効でした。試して確証がついてから、理事会に説明して承認を得るというプロセスを踏めて良かったです。

また共有施設の予約ではカレンダーの機能が非常に重要だったのですが、標準だとカバーしきれない部分あり、ラジカルブリッジ社のカレンダーPlusというプラグインを導入しました。こちらも期間無制限の無償試用ライセンスがあり、有償ライセンスも買い切り価格だったので、導入する時だけお金がかかります。保守費用を継続して払わなくても良いですよ、というところも住民に説明しやすかったです。

コロナ禍でデジタル化とリモート対応への抵抗感が薄れたという面もあります。理事会もZoom併用となり、管理棟に行かなくてもできるところが非常に説得力を持つようになりました。また高齢者へも、あなたが使えなくても、業務が効率化されたり、マンションのブランドイメージが向上したり、間接的な恩恵を受けられるので、なるべく反対はしないでくださいね、と説明してお願いしました。


情報発信や情報共有だけだったらホームページやGoogleドライブでも十分じゃないのというご意見もあると思うのですが、マンションの中で一番改善の伸びしろがあるのは、対面業務や書面業務の効率化だと思います。ですから、既成のツールや一方通行の情報発信だけでは不十分で、業務アプリを作って業務を効率化するところまで突っ込まないと、マンション管理組合で導入するメリットをあまり得られないかなと思います。ホームページは不特定多数の人に情報発信するにはいいですが、マンション管理組合は関係者が全員近くに住んでいるので、その必要はありません。煩雑な業務を減らせることがキントーン導入の決め手になりました。

キントーンのアプリ開発の考え方

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キントーンのアプリ開発の考えかたを、3点挙げました。

1. キラーアプリから導入する

共用施設予約や総会出欠など、誰もが使いたいと思う煩雑業務、業務効率化の効果が高い業務からアプリ開発をしていきました。住民自身が不便だとか面倒だとか思っていたところが便利になれば、登録してみようかな、使ってみようかなと思ってもらえると考えたので、まずキラーアプリを導入して、そこから優先順位をつけて他のアプリを開発していきました。

2. ITが苦手なかたの利便性はできる限り維持する

パソコンやスマホが利用できないかたも、フロントに来ればフロントの職員が代わりに手続きができるようにしています。使えないかたでも不便になりませんよ、という部分はしっかりとアピールしました。そのうえで、キントーンを使ったほうがより便利になる部分もアピールするよう心がけました。

特に駐車場の予約がそうなのですが、空いているかどうかの確認は、わざわざ共用棟の窓口に電話で問い合わせをしなくても、スマホでキントーンを見ればわかるしその場で予約もできます。リモートで確認できたほうが絶対に便利なんですね。一方で、今まで通り窓口でも予約はできますよ、キントーンを使わないとこれまでより不便になるわけじゃないですよ、という部分を伝えました。今までのサービスレベルは落としません、ただもっと便利になります、というストーリーが大事だと思います。

3. 情報の見える化だけでも意味がある

今まで紙台帳や紙の配布物で管理されていた情報が、インターネット上でいつでも最新のものを確認できるようになるというだけでも、意味があるのではないかと思っています。

キントーン導入の際、工夫した点

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住民のプライバシー情報は登録しないことにしました。ユーザー情報は登録の際に本人確認のためチェックはするものの、システムには表示名とログイン名しか載せない運用をしています。


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登録データや個人が回答するデータについては、他の人が参照できないように設定しています。

アンケートや総会については、自分だけしか回答していないと思われるかもしれないので、集計機能を利用して、いま何人回答しているのかをグラフで共有しています。


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アプリにデータを入力して保存する際には、JavaScriptで入力項目をチェックしています。一覧画面から編集するとチェックされないので、一覧画面では編集できないようにしています。


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実際には使っていないのですが、利用禁止者台帳というアプリをつくり、マナーを守らないかたやルールを守らないかたがいたら、申し込みの登録時にブロックをする機能も入れました。使わなくてすむことが一番と思うのですが、このような準備もしています。


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ラベルに利用方法を書き込んで、都度マニュアルを参照しなくてもいいように工夫しています。


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理事会での活用というより、住民向けサービスを優先しました。理事会の中ではZoomも含めた既存のメール中心のコミュニケーションでなんとかなっているので、まずは住民向けサービスの充実に取り組んでいます。

質問への回答

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質問コーナー

Q. キントーンの運用は理事会の役員が勉強してやっているのでしょうか。どのように維持していくか悩んでいます。
A. 担当者の私が勉強してやっています。さまざまな講習に参加するのも一つですね。

Q. ユーザーのPCやスマホの利用率はわかりますか?
A. 統計を取っていないので正確にはわかりませんが、スマホが多いです。特にITリテラシーが低めのかたは、ほとんどスマホだという印象です。kintoneモバイル(スマホアプリ)の利用をご案内しています。

Q. 管理会社との関係はどうですか?
A. アプリの作成は僕がやっているのですが、紙で提出されたものをキントーンに入力するのは管理会社に対応してもらっています。あとは一次窓口の切り分けをやっていて、システムに関する質問だけが私に来るようになっています。なかなか任せきれているわけではないですが、一次対応と定型業務はなるべく管理会社にお任せしています。もともとエクセルで対応していた業務がキントーンに移行したので、抵抗感なく対応してもらえているのかなと思います。

Q. 年度ごとに理事会のかたが入れ替わることに、どのように対応していますか?
A. 理事が交代したら、理事会の文書にアクセスできるグループ権限を入れ替えています。引き継ぎの情報をキントーンでやり取りすることはあまりないですね。