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キントーンとメールワイズの導入で、役員さんがこんなにラクになったワケ【さいたま市立美園南中学校PTA】

  
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非営利組織のIT活用交流会「チーム応援カフェ」で語る、さいたま市立美園南中学校PTAの内田 冝宏さん

 コロナ禍の影響を受け、最近はPTAのオンライン化が加速しています。「今年度こそはうちのPTAも!」と計画をあたためているPTA会長や役員さんも多いのではないでしょうか?

 今回ご紹介するのは、2019年度からグループウェアを導入した、さいたま市立美園南中学校PTAです。どんなふうにオンライン化を進め、それによって何が変わったのか? 2022年3月に開催されたオンライン交流会「チーム応援カフェ」で、同PTA会長の内田冝宏さんが、これまでの経緯を教えてくれました。

「脱USBメモリ」のためクラウドサービスを検討

 さいたま市立美園南中学校(生徒数約600人)は、2019年春、前身の美園中学校から分離してできた新設校です。美園南中PTAは立ち上げ当初、美園中PTAのやり方にならって、USBメモリでデータを管理していました。

 ですが、USBメモリは紛失や盗難のリスクがあり、情報漏洩が起きてしまうことも考えられます。本部役員会で話し合った結果、「持ち歩かずに済む、クラウドサービスを使って管理したほうがいいのでは」ということになりました。

 そこでいくつかのツールを検討した結果、キントーンとメールワイズを導入することに。キントーンはセキュリティ対策を含め、簡単に、かつ細かいところまで設定できる点が決め手となりました。PTAはチーム応援ライセンスの対象となっており、それぞれ年間9,900円(税別)で運用できる点も大きな魅力だったということです。

 キントーンだけでもメンバー間の連絡は可能ですが、保護者のなかにはガラケーの利用者もいることを踏まえ、一斉連絡はメールで行うことにしました。キントーンと連携できるメールワイズを使えば、メールの一斉配信も簡単にできるし、受けとったメールを複数のメンバーで共有しつつ対応することもできるので、連絡や応答もスムーズになります。

 なお、さいたま市では市内全校において「学校安心メール」というメール配信サービスを採用していますが、これはあくまで学校のメールサービスです。学校とは別団体であるPTAが使うためのものではないので、PTAは独自のドメインをとってホームページやメールアドレスを用意し、ここから情報を発信することにしました。

 PTAのホームページは、コロナ禍で学校が一斉休校となったときに、内田さんが2日で立ち上げました。内容によってはページやファイルにパスワードをかけ、さらにそのパスワードを毎回変更するなど、セキュリティにも十分配慮しているということです。

各活動は「スペース」でやりとりを

1. PTAと家庭と学校をつなぐICT環境_m2.jpg

 それでは、実際にキントーンをどのように使っているのかというと、たとえばこんな感じです。

 1. 地区コミュニティスペース
 2. 委員会活動スペース
 3. メール閲覧アプリ
 4. 部活動保護者用スペース

 順番にみていきましょう。

<1. 地区コミュニティスペース>
 同PTAでは、生徒の帰宅時間に合わせて保護者が見回りをしたり、交差点に立ったりする「防犯安全パトロール」という活動を行っています。この活動のため、キントーン上に地区ごとのコミュニティスペースを設け、メンバー同士でのやりとりをできるようにしました。

<2. 委員会活動スペース>
 現在、同PTAには6つの委員会があります。キントーン上に各委員会が年度ごとのスペースを設け、ここで連絡を取り合っています。ポイントは、終わった年度のスペースを削除せずに残しておくこと。新メンバーは過去の年度のスペースを見ることで、1年間の活動の流れや、これまでの経緯を確認することができます。

 これにより、引き継ぎ作業も軽減されました。これまでは、担当者同士が直接顔を合わせて2時間ほどかけて行っていましたが、それでも詳細な部分までは伝えきれず、引き継ぎしきれない部分が残っていました。そういった足りない情報も、スペースを見て補うことができます。

<3. メール閲覧アプリ>
 会員はキントーンの「メール閲覧アプリ」から、「学校安心メール」で中学校から送られてくるメールと、PTAから送られてくるメールを、どちらも閲覧することができます。たとえば1年生の保護者には1年生向けのメールと、全学年向けのメールが届くように設定されており、「必要な人に、必要な情報が届く仕組み」になっています。

<4. 部活動保護者用スペース>
 部員の保護者が顧問の先生と連絡を取り合う際、これまでは各部でメール等を使用してきました。でも、せっかく全保護者がキントーンを使えるのであれば、部活動の連絡もキントーンを使ったほうが便利でしょう。そこで設けられたのが、この「部活動保護者用スペース」。現在は、陸上部が試験的に運用しています。

 なお、保護者同士がやりとりをする際は誹謗中傷などのトラブルが起きないよう、「お知らせ」の欄にコミュニケーション上のルールを記載しているということです。

IDを数字6桁にする理由

 次に、保護者の情報管理、すなわちユーザー登録の方法についてです。以前はPTAに加入した新入生保護者約200名の情報を紙で集め、本部役員さんがパソコンでExcelに入力していましたが、これでは手間がかかります。そこで、ホームページ上に会員登録用のフォームを設け、各会員に自分の情報を直接入力してもらう形にしました。

2. 会員登録(HPフォーム).jpg

 登録方法は、入学前に知らせています。同PTAでは20ページほどの「PTAガイドブック」を作成し、入学前年の12月に、同中学校区にある2つの小学校の6年生保護者に配布します。この冊子には、登録情報の入力方法や、活動へのエントリー方法、役員の選出方法、「地区の安全パトロール」用のマップ、個人情報保護方針等々、PTAに関するあらゆる情報が網羅されています。

3. ガイドブック_m.jpg

 ホームページから各保護者が入力した情報は、キントーンの「会員リスト」というアプリに登録され、各会員にはIDが6桁の数字で自動発行されます。最初の2桁は入学年度、次が出身小学校に割り当てられた1から3のいずれかの数字1桁、その次が6年生のときのクラス1桁、最後の2桁が出席番号を表します。

4. ユーザー登録.jpg

 たとえば、2022年度に入学する子どもが、A小学校6年1組、出席番号24番だった場合、IDは「221124」となるわけです。きょうだいがいる場合は、一番上の子のIDを使ってもらっているということです。

 内田さんはIDを数字6桁にした理由を、こんなふうに説明します。

 「IDを好きな文字に設定してもらうこともできるんですが、登録した人がIDを忘れてしまって問い合わせが来たとき、こちらもわからなくてすぐに答えられません。その点、この6桁の数字なら割り出しやすく、入力する際も簡単です」

 会員にとっても、IDを管理する担当役員さんたちにとっても、使いやすさを追求した結果が、この6桁の数字の配番ルールでした。なお、現在会員の管理は内田さんとPTA顧問の2名で行っているということです。

防犯安全パトロールも簡単になった

 最後に内田さんが紹介してくれたのは、「防犯安全パトロール」の活動におけるキントーンの活用です。各会員は、まずホームページ上で自分の地区のパトロール表を確認して、当番の日にパトロールを行います。地区ごとのページにはパスワードがかけられ、ほかの人には見られないようにしてあります。

5. 防犯安全パトロール_m.jpg

 活動後は、ホームページ上の「活動報告フォーム」から報告を行います。フォームに入力した情報は、キントーンのアプリに自動で入る仕組みです。

 キントーンを導入するまで、「防犯安全パトロール」はとても手間のかかる活動でした。パトロール表は紙で用意し、各地区の担当者が各家庭にポストイン。活動報告は紙に記入したものをファイリングし、年度末にまとめてチェックしていました。そのため、せっかくパトロールで得られた情報があっても、ほとんど活かされることはなかったようです。

 でも、いまは違います。活動報告は、入力されたらすぐに24時間いつでもチェックできるので、対応が必要なことが起きた場合も、スピーディーに動くことができます。

 PTAのオンライン化は「どうしようか、と言っているだけでは始まらないので、誰かが筋道を立てて進めていく必要があると思う」と、内田さん。「いくら素晴らしいシステムを構築しても、やっぱり人と人との関係なので、これからもコミュニケーションを大事にしていきたいです」と話してくれました。