事例・活用のヒント

高校生最大の文化の祭典を支えた生徒と教育庁のクラウド活用法とは?【2019さが総文】

  
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上段左から大会マスコットキャラクターのあさぎちゃん、佐賀県教育庁全国高総文祭 推進室の吉永伸裕さん。下段左から生徒実行委員会副委員長の山下敦子さん、委員長の佐藤雄貴さん、副委員長の中村怜奈さん、生徒総合開会式部会委員長の山口沙耶さん。

高校生が主役の夏のイベントといえば甲子園やインターハイが有名ですが、文化部のインターハイとも呼ばれている全国高等学校総合文化祭(略称:全国高総文祭)も毎年、夏に開催されています。

全国や海外から約2万人の高校生が集い、5日間の日程で演劇、合唱、吹奏楽など20部門超で日ごろの成果を披露する高総文祭は、市民の観覧者を含めると10万人規模のイベントです。持ち回りで開催地となる都道府県教育庁(実行委員会事務局)のサポートを受けながら、生徒実行委員が運営を担っています。

2019年に佐賀県で開催された第43回全国高総文祭「2019さが総文」では、複数の学校に点在する生徒実行委員と事務局ら総勢100名近い運営メンバーの情報共有に、「サイボウズ Office」が活用されました。導入の経緯や効果について、2019年3月、佐賀県教育庁の吉永指導主事と生徒実行委員の代表4名にオンラインで教えていただきました。

2017年宮城大会の視察からスタート

佐賀県内で高校生による実行委員がスタートしたのは、2017年の夏でした。

「現在の3年生が高校に入学したての春先から声をかけ、たくさんの応募者から30名が実行委員に選ばれました。顔合わせの3日後には宮城大会の視察に行きました。」(吉永指導主事)

「テニス部をしながら立候補しました。高総文祭の会議は土日にあることが多いので、平日は普通に部活動をしていました。」(山下さん)

「宮城に行くときは知らない人同士でしたが、視察するなかで距離が近づきました。」(中村さん)

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県庁で行われる総合開会式のコンセプト決めの会議の様子。県庁での会議は基本的に日曜に行っていました。

学校経由ではなく事務局と生徒がつながる場に

事務局は、県内の学校に点在する生徒実行委員に対し、出欠の確認や、事前資料を配布する必要がありました。グループウェアを導入する前は、各学校の窓口の先生にメールをし、対象の生徒を校内で呼び出してもらい連絡事項に対する返答をメールやFAXで報告してもらっていました。

現場の先生の負担感と、学校経由のやりとりの煩雑さを感じた吉永指導主事は、生徒と直接やりとりできるツールで効率化することにしました。

「佐賀県の教育委員会では、トラブル防止のためSNSで職員と生徒がつながることを禁止していますので、不要な生徒の個人情報を収集せず、かつ1対1でのやりとりにならないオープンな仕組みが必要でした。何かいいツールはないか? と考え、無料グループウェア『サイボウズLive』(2019年サービス終了)を使ってみることにしました。高校生が使用するにあたり、広告表示がないことも大きな要因でした。」(吉永指導主事)

「サイボウズLive」はメールアドレスの登録が必要だったので、ログイン用のGmailアカウントを30人分用意してユーザー登録をしたそうです。

ところが、本格運用が始まった直後の2017年秋、「サイボウズLive」が2019年4月に終了すると発表されました。予算を確保していなかったので困りましたが、2018年に任意団体向けの「チーム応援ライセンス」で 「サイボウズ Office」が安価に利用できることになり、移行することにしました。

「『サイボウズ Office』に移行して助かったこともあります。1つ目は、ユーザー登録にメールアカウントが不要なこと、2つ目は、掲示板にアクセス権の設定ができることです。」(吉永指導主事) 2期生も加わり実行委員は80名となりました。事務局は18名で、主に7.8名の指導主事が生徒とのやりとりをしていました。吉永さんは、生徒への連絡の徹底について効果を感じたそうです。

「誰に向けて書いているかが明確なので、連絡の徹底に効果的でした。スケジュール機能では宛先を選べるのでアンケートにも利用しました。」(吉永指導主事)

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スケジュール機能で、お弁当のパッケージについてアンケートをとりました

アイディアをもちよる場としても機能

佐賀県の公立高校では、一人1台PC端末が配られ無線LANも整備されていますが、アクセスできるサイトやサービスは制限されています。実行委員の生徒に対しては「サイボウズ Office」へのフィルタリングを外してもらい、学校内でもアクセスできるようにしていたそうです。

高校生たちは「サイボウズ Office」をどう感じたのでしょうか?

「すんなり使えるようになりました。PCとスマホと両方で使っていました。スマホには 『サイボウズ Office 新着通知アプリ』を入れていました。」(山口さん)

「ポンと通知がくるLINEに慣れていたので、サイボウズは見慣れない画面でした。見にくいと思うときもありますが、ずっと使っているので前より慣れました。」(山下さん)

「私はアプリの通知をONにせず、自分から意識して見にいっていましたが、見遅れると過去ログがたまり、見るのが面倒くさいなとは思っていました。でも、他の部会のやりとりも見ることができるので、こういう風にしているんだ。こういうことしたらいいんじゃない? と参考になりました。」(中村さん)

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「サイボウズ Office」の掲示板での生徒同士の意見交換の様子

吉永さんは、当初、掲示板を部会ごとに分けアクセス制限をかけていました。しかし、高校生が部会を越えたやりとりに新たな掲示板を作っていくのを見て、他の部会のメンバーも書き込めるようアクセス制限を緩和したそうです。

生徒の間で急な連絡をしたいときには生徒同士のLINEも用いられました。

「主にはサイボウズを使っていましたが、細かい話はLINEで何時から話そうねと決めて通話をすることもありました。話しながらパソコンで内容をWordに打ち込んで、終わったらサイボウズにあげるという使い方をしていました。」(山口さん)

「県庁に行かないと推進室の先生とは話せませんが、サイボウズがあったから聞きたいときに先生たちの意見も聞けました。吉永先生からは秒で返事が来ました(笑)。先生たちとの連絡の手段としては非常に助かりました。」(山下さん)

「高校生はいい意味で不器用です。1、2時間の会議で話し合って物事を決めていくというのは難しいことなので、事前にいろいろなアイディアをもちよる場としてグループウェアを提供できたのはよかったと思います。」(吉永指導主事)

実行委員はやったほうがいいと自信をもって言える

最後に生徒たちから、中高生に対し「実行委員はやったほうがいいと伝えてください」というリクエストをいただきました。

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「大変だけれど、やった後はできることが増えたし大学の入試でもこの経験をアピールできた。迷っている方がいたら、絶対やったほうがいいよと自信を持って言えます。」(山下さん)

「自分のやりたいことに対し、そのためにはどういう手段があるかということや、どういうスキルが必要かということを教えてもらえました。いい大人やいい人たちに恵まれたので参加してほしいです。」(中村さん)

「高校に入って高総文祭をはじめて、『あー、こんなことできない!』とあたふたしながらも、みんなでやることができて楽しかったです。実行委員になったら最高の仲間ができますよ!」(山口さん)

「これだけ大きいことを高校生として生徒主体でできる経験は貴重です。佐賀県で開催されるタイミングに、佐賀で高校生だったのは奇跡だなと思っています。なかなできる経験ではないので、もし高総文祭に参加できるなら機会を逃すのはもったいない。是非やってほしいなと思います。」(佐藤さん)

吉永さん、実行委員の皆さん、貴重なお話をありがとうございました!