事例・活用のヒント

立命館大学 横田ゼミ×NPO共同開発PJ(発表編)──鳥獣対策や就労マッチング、産学連携で社会課題に取り組む

  

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2017年12月18日、立命館大学大阪いばらきキャンパスで、kintone café大阪のスペシャル企画として立命館大学 経営学部 横田ゼミの学生たちがNPOとの共同開発プロジェクトの成果発表を行った。

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四方すべての壁にスライドが投影される教室「ラーニングシアター」で行われたkintone café大阪

「獣害対策の集落自立度評価と対応履歴管理システム」の開発

最初の発表は、特定非営利活動法人里地里山問題研究所(さともん)の「獣害対策の集落自立度評価と対応履歴管理システムの開発」を行ったチームだ。

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里地里山問題研究所担当チーム

里地里山問題研究所は、兵庫県篠山市を拠点に獣害対策に取り組む地域を応援するNPO法人である。被害にあう集落に対して、獣害対策の専門的な知識・情報の提供を行っている。各集落にどのような獣害被害があって、これまでどのような対策を行ってきたのかというデータは、これまではExcelで管理していたが、より効果的に支援するためには経験をデータベース化し、担当者が共有して利用できるシステムが必要であった。

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このチームは、各集落の獣害対策状況、学習会の状況、電話窓口などの相談対応など9つのデータベースアプリを作り、各アプリを集落状況管理システムアプリと連動させた。絞り込み機能を使えば、似たような被害がある集落を集めて学習会を行うことができる。また、データをレーダチャートで表示させてこれまでの経験を見える化することもできた。

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里地里山問題研究所の鈴木克哉代表理事

「これまでは経験が引き継がれず、担当者が変わると一からやり直しということが多いことが問題でした。このアプリがあれば、初めての担当者でも状況が一目で分かります。同じような事業をしている同業者に話したら、うちも使いたいと言っていました」と同法人の鈴木氏は学生のアプリをほめた。

「インターンシップ・キャリア教育共同パートナー管理アプリ」の開発

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関西で、大学生向けインターンシップとキャリア教育・CSR活動プログラムなどを提供しているNPO法人JAEの「共同パートナー管理アプリ」の開発を担当したチームは、入力の手間を省くためにルックアップ機能を多用しグラフ化する機能も備えたアプリを作成した。業務内容の把握が充分ではない点があり、まだ期待に応えられていない部分があると自分たちのプロジェクトを振り返った。

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JAE担当チーム

「障害福祉事業所管理システム」の開発

障害福祉事業所と働きたい障がいのある人をつなぐ活動を行うNPO法人兵庫セルプセンターを担当したチームはルックアップ機能で複数のデータベースを連結させた。

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兵庫セルプセンター担当チーム

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入金確認が「未」の状態が続くと「入金請求ができているか」と通知がとぶ仕組みもとりいれた

「これまでバラバラだった複数のデータファイルを一元管理できるようになり、非常に便利になった」と兵庫セルプセンターの堂前健太氏は感想を述べた。

「ヘルパー派遣の顧客管理システム」の開発

障害のある人へのヘルパー派遣業務を行っているNPO法人み・らいずでは、利用者宅に訪問し、ヒアリングを行って支援の計画を立てていく。聞き取った情報は紙の書類で管理していたが、情報量が多く、利用者の状況が変化した場合の書き換えも容易ではなかった。これをアプリで管理すれば、最新情報や過去の履歴も管理しやすく、情報の共有も容易になる。

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み・らいずのアプリ担当チーム

学生たちは、実際に現場に訪問してヒアリングした経験から学んだことをアプリに組み込み開発を進めたことを語った。

「日替わりメニューのアレルギー対応アプリ」の開発

障害のある人の就労自立を支援するNPO法人ぷろぼのの「ぷろぼの食堂」では、日替わりメニューにアレルギー表示を施してほしいという要望があり、現在はメモ帳やExcelでその都度職員が対応するというアナログな方法をとっている。しかし、記入漏れやミスを防ぎ効率化を進めるために、一括で管理できるようなシステムが求められていた。

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ぷろぼののアプリ開発を担当したチーム

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アレルギーに対応したメニューを管理するアプリ

発表では、見やすさや使いやすさはもちろんのこと、アレルギーは生命に関わることなので、ミスや漏れがないように慎重に作成したことを強調した。

「就職・採用支援業務管理システム」の開発

岐阜を中心に活動しているNPO法人G-netは若者と地域の魅力的な中小企業をつなぐ長期実践型インターシップ事業と就職・採用支援事業を行っている。お互いのニーズがあった学生と企業をマッチングさせるために、多くのやりとりが発生するため、データの管理や共有をアプリで効率化したいという課題があり、学生たちはその要望に応えた。

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G-netのアプリ開発を担当したチーム

「うちの業務内容は複雑でなかなか理解するのが難しいと思いますが、学生さんたちはよく理解してくれました。ただ、もっといろいろ聞いてくれたら、さらによいものができたんじゃないかと思います」(G-net 荒木陽一氏)

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G-netの荒木氏

「就労移行支援業務管理システム」と「フードバンク業務管理システム」の開発

特定非営利活動法人ふうどばんく東北AGAINの課題は就労支援事業とフードバンク事業とで2チームに分かれて取り組んだ。アプリの開発は別々に行ったが、ときどき連絡を取り合い、レイアウトをそろえるなどの工夫も行った。

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ふうどばんく東北AGAIN担当チーム

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配達情報のアプリ

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開発を通じ達成感を感じつつ、誰でもつかいやすいように調整することの難しさをじたという。

学生たちをサポートしてきたアールスリーインスティテュートの金春利幸氏は語る。

「今回の授業で、kintoneを使えばITの専門知識を持たない学生でも3か月で、ある程度のレベルのアプリを作成できるということが確認できました。システム開発・業務改善は誰にでもできる。僕らの仕事がなくなってしまいますね(笑)」

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サイボウズ公認kintoneエバンジェストのアールスリーインスティテュート金春利幸氏

「もし、社会に出て同じように業務を改善するという局面に出会ったら、この経験を思い出してほしい。本人たちはあまり気づいていないが、すごい経験をしているんですよ」(金春氏)

NPOが取り組む社会課題に関する知識、業務の流れ、システムを構築するうえでのコミュニケーションやスキルなど学生たちは体験をとおし様々なものを身につけた。kintoneを使ってできることは業務改善だけではない。システム開発の先にあるものを学生たちは学んだことだろう。

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最後は、全員の笑顔の記念撮影で締めくくられた。

発表前の授業の様子

アールスリーインスティテュートのNPO向けkintone開発支援特別プラン「ハイスピードSI for NPO」