事例・活用のヒント

『もしこれがなかったら死んでいた......』──1000人超の会員支援をkintoneで管理し丁寧な対応が可能に【しんぐるまざあず・ふぉーらむ】

  

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NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 赤石千衣子さん

未婚・非婚・離婚・死別のひとり親を支援する、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむは1980年に発足した非営利団体です。電話相談やグループ相談会、食糧支援、同行支援、キャリア支援、ニュースレターの発行、その活動は多岐にわたります。

2016年からは子どもの進学時に現金を贈る「入学お祝い金事業」を始め、2年目の2017年は365人の子どもたちに各3万円のお祝い金を贈りました。出版事業も行っており、『シングルマザー365日サポートブック』等を発行しています。

主に常勤するのは、理事長の赤石千衣子さんと、事務局の大塚君江さんと、もう1名の計3名。ほか10名ほどのスタッフとクラウドサービス「kintone」と「メールワイズ」で連携しながら活動を進めています。サイボウズNPOプログラムの導入の経緯や具体的な活用方法を、理事長の赤石さんに聞かせてもらいました。

会員情報の管理をなんとかしたい!

しんぐるまざあず・ふぉーらむがkintoneを導入したのは、2016年の夏頃。きっかけは、入会者の増加に伴い、会員管理が追い付かなくなったことでした。

それまではエクセルで会員管理をしており、どの方からどんな相談を受けて、どんな支援を行ったか、といった情報は、各相談員の「アタマのなか」にある状態でした。しかし会員人数が増え、その対応では間に合わなくなってきたのです。

「よその団体は、みんなどうやって会員管理しているのかな? と思って、Facebookで聞いてみたら、フローレンス代表の駒崎さんが『kintoneがいいよ』とおっしゃって。その後、ジョイゾー(システム開発の支援を行う会社)さんのセミナーに行ったスタッフも、『絶対にこれがいい』というので、じゃあそれに乗ろう、と決めました」

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サイボウズ東京オフィスでジョイゾーとkintoneの対面開発を行った。NPO向けの特別キャンペーンを利用した。

kintoneを導入して、まずはそれまで別々に管理していた会員情報と、相談・支援履歴情報をリンク。スタッフの間でより広く、且つより丁寧に、情報を共有できるようになりました。

キャリア支援、メルマガ配信、寄付者への活動報告にも活用

シングルマザーキャリア支援プログラム「未来への扉」でも、kintoneが活用されています。

「プログラムへの応募は、ホームページで受け付けています。お名前や住所、家族構成、職歴、志望動機800字などを記入してもらうのですが、このフォームは、フォームクリエイター(kintoneにデータを入れられるwebフォーム作成サービス)で作成しています。

面談結果のお知らせや、受講管理、アンケートの作成や集計などもフォームクリエイターとkintoneのおかげでスムーズです。『もしこれがなかったら死んでいた......』とスタッフが言っています(笑)。以前はアンケート集計も手入力で、半日はかかっていました」

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kintoneの「未来への扉」アンケート画面

メールマガジンの発送も簡単になりました。フォームクリエイターで作ったフォームから会員登録をしてもらい、そこからメルマガ会員をソートで取り出し、メールワイズ(メールの送受信を複数人で共有できるツール。kintoneと連携可能)で一斉送信するだけです。

「以前は手動でCSVに貼りつけて、それをサンダーバード(メールソフト)で読み込んで一斉送信していましたが、CSVの言語を間違えたりすると読み込んでくれないので、毎回タラタラと脂汗をかきながら作業していました(笑)。いまは、すごくスムーズになりましたね。

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フォームをドラッグ&ドロップで簡単につくれるフォームクリエイターの画面

寄付者への活動報告も、kintoneとメールワイズで行っています。最初に名刺の入力作業があるんですが、そこはボランティアさんが来てくれたときに、まとめてお願いしています」

ソート機能を活用して、丁寧な審査を

冒頭で紹介した「入学お祝い金事業」ではkintoneのソート機能を活躍したといいます。

「この事業は、寄付していただいたお金を原資に進学するお子さんに1人3万円ずつお渡しするというものです。制服代などは高いですし、しかも就学援助がおりるより前に代金を支払わなければならず、毎年たくさんの方が困っておられるので、一昨年からスタートしました。

2回目となる今年は、当初200人にお渡しする予定でしたが、562人(530世帯)分のお申し込みをいただいたので、みなさんとても大変な状況でしたからお断りしなければならない状況はつらかったです。再度寄付を集め、ありがたく寄付いただけたのですが、公正に審査しなければなりません。

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kintoneの画面、イベントの申し込み管理、タイムカード、相談記録などのアプリが並ぶ

生活が苦しい方から選考することになっておりますので、応募の際にお聞きした児童扶養手当(ひとり親向けの手当)の受給額や、所得額、お子さんの人数、障がいの有無そのほかの特別に配慮する事項等を基準にソートをかけて、何度もシミュレーションを行いました。この結果をもとに教育研究者、寄付者、ファイナンシャルプランナーなどが参加する選考委員会で検討させていただき、最終決定をしました。3月初旬、制服代などの準備が始まる前に365人のお子さんに3万円を送金して、その他の方たちには食料パッケージまたは図書券をお送りしました。これももしkintoneの機能がなかったら大変だったね、と担当者が言っています」

なお、お祝い金を贈った方たちは全体の約半分(47%)の方が年収100万円以下だったそうです。この事業に救われた人は、多かったことでしょう。

イベントの申し込み管理にも活用

単発で行うイベントでも、フォームクリエイターやkintoneが活躍しています。  最近は、クリスマス会の参加者の募集を開始しましたが、たちまち応募が集まって、抽選になる見込みだとのこと。

「イベントで悩ましいのが、こちらのメールが届かないケースがあることです。お母さんたちは携帯メールを使う方が多いので、こちらから送ったメールをスパムメールとしてはねてしまって、気づかれないことがよくあるんです。そのため、せっかく当選の連絡をしても、当日いらっしゃらない方がよくおいでです。

他の団体にどうしているか聞いてみたら、『いったん仮の申込フォームをつくって、そのアドレスへの返信で本申し込みフォームのリンクを送り、再度そこから申し込みをしてもらう』という方法を教えてもらいました。これなら当選の連絡をする前に、先にメールが一往復しているので、確実に当選メールが届くんですね。いまは、そのやり方を導入しています。」

イベントの参加応募フォームでは、子どもの名前のふり仮名、アレルギーの有無、報告用の写真撮影の可否等も確認していますが、そういった項目もフォームクリエイターで簡単に作れるので助かっているといいます。

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撮影不可の方は事前に把握し当日は違う色のストラップを用意する

「当日、ご本人やお子さんを撮影していいかどうかも、応募時に確認しています。わたしたちとしては、寄付をしてくれた方たちに『ご寄付で、こういう楽しいイベントができました』と報告するためfacebook等で写真をアップしたいんですが、参加者の方たちの中にはDV被害者の方もいらっしゃいますので、安心安全はなにより重要です。お一人ひとり事情が違うので、勝手に撮影はできません。

そこであらかじめ撮影の可・不可を確認しておき、不可の方には当日、他の参加者と違う色のストラップをつけていただきます。そうすれば写真に映ってしまっても、後ではねられるので、わたしたちも安心して写真を撮影できます」

さらなる支援オファーに応えるために

さて、こうして、近年ますます活動の場が広がるしんぐるまざあず・ふぉーらむですが、今後はどのような展望があるのでしょうか。

「会員は日々数人ずつ増えています。また事業も拡大していく方向です。スタッフを増やし、団体の体力をつけていきたいと思います。

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わたしたちは、中間にいるわけです。一方にはひとり親のママやパパたちがたくさんいて、他方には『何かしたい』と言ってくれる人や企業や公的機関が増えている。その仲介をして、シングルマザーと子どもたちに役立つサービス(支援)として届ける、そしてママを元気にして子どもたちをしあわせにするというのがわたしたちの使命だと思っています。また政策提言活動や、子どもの貧困をうまない社会をつくっていくことも使命です。

現在は、わたしたち事務局のほか、10数名のスタッフが賢くかかわっているんですが、企業さんからの支援オファーが増えているので、今後はスタッフを増やして、対応していけたらと思っています」

大変参考になるお話をありがとうございました!