Case

事例

2026年5月 1日

小規模PTAにもkintone、限られた人数で持続可能な組織をつくる

石川県小松市立木場小学校育友会

小規模校でよく見られる「保護者負担が大きい」という悩み。これを解消すべくkintoneを導入したのが石川県小松市立木場小学校育友会(PTA)です。どんなふうに使っているのか、導入により何がどう変わったのか、会長の宮本達矢さんにお話いただきました。

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宮本達矢さん。本業は製造業向けのDX推進に関わるシステムエンジニア。育友会にはあと3年ほど関わるご予定とのこと

課題感や危機感の共有からIT導入に踏み切った

豊かな緑に囲まれた小松市立木場小学校は1873年に創立された歴史ある学校です。児童数は現在57名で、来年度(2026年度)からは学年を超えたクラス編成(複式学級)になる予定です。

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木場小学校では、あいがも農法やビオトープを活用した環境学習も盛んに行われている

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創立150周年のときに誕生した木場小キャラクター「キバシカ」。学校の周りで見かける「カモシカ」がモチーフだそう

地域とのつながりの深さなど小規模校ならではの良さもある一方で、学校行事や業務量はほかの学校とあまり変わらないため、保護者の負担が相対的に大きくなりやすいことが、育友会の悩みのひとつでした。

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育友会の会員は44世帯。この中から毎年25〜27名が役につく

「情報共有はLINEのみで行っていたため、年度が変われば過去のログは失われ、何も残りませんでした。引き継ぎは主に紙資料で行っていたので、紛失のリスクや共有・検索がしづらいといった問題もありました。また、慣れている経験者に役割が集中しやすく、新規メンバーが入りづらくなるという傾向も見られました」(宮本さん)

そこで今年度(2025年度)からは、IT導入を進めることに。ITに明るい役員が3名いたことや、過去の会長経験者らとも課題感や危機感を共有できたことから、「まずはやってみよう」という流れができたのでした。

「誰でも回せる仕組みづくり」「情報の見える化」「"続けられる"仕組みづくり」――この3点が、今回宮本さんらが取り組んだ育友会改革の基本思想です。

誰でも無理なく使えて、年度をまたいで情報共有が可能

導入を検討したツールはkintoneを含めて主に4つありました。価格、操作性(スマホ対応)、通知の確実性、データ蓄積・検索性などの観点から比較した結果、kintoneを使うことに。

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「誰でも無理なく使えること、年度をまたいで情報共有ができることが、最優先のポイントでした。kintoneは非営利団体向けの安価なプラン『チーム応援ライセンス』があることや、『PTA専用アプリパック(PTA'S提供)』が使いやすかったこと、スマホアプリで簡単に通知を受け取れることも大きかったです」(宮本さん)

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8つのアプリが入った「PTA専用アプリパック」

さらに、初期サポートが手厚かったことや、ノーコードで簡単に必要なアプリを作成できること、導入事例が多くて安心だったことも決め手になったといいます。「導入検討中の段階から相談に乗ってもらえたことや、体験版で実際の動きを見られたこともよかったです」(宮本さん)

kintoneの導入にあたっては「スモールスタート」を心がけました。1年目は試験運用として、役員、専門委員、学級委員、関係する教職員のみで使うことに。保護者のITリテラシーには大きなばらつきがあるので、段階的に進めたほうがうまくいくと判断したことや、学校側の負担を最小化したいと考えたことが主な理由です。

「PTA専用アプリパック」のうち、最も活用しているのは「行事カレンダー」です。学校が使っている保護者連絡アプリでは行事日程を確認できず、子ども経由で届くはずのおたよりもランドセルに埋もれてしまうことがあるため、育友会でもkintoneを使い学校行事の情報を共有することにしたのです。

このほか「議事録」「ファイル管理」「行事報告書」「経費精算」などのアプリも使っているということです。

作業の「見える化」で新規メンバーも入りやすくなる

メンバー同士のコミュニケーションは、主にスレッドで行うことにしました。役員会や委員会ごとにスレッドを立て、そのなかでやりとりしています。気軽に使えてログも残るので、過去の情報検索が可能となり引き継ぎ資料としても役立ちます。

なお、今年度はLINEも併用しているそう。クマの出没など緊急時の連絡や、kintoneで共有した情報のURLの共有といった用途で使っているということです。

独自に作成したkintoneアプリもあります。ひとつは「危険箇所点検アプリ」。育友会で毎春行っている、通学路の危険個所点検の記録を残すためのものです。写真付きで記録できるので、場所や状況、経年変化を把握しやすく、情報はそのまま次年度に引き継げます。

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「危険箇所点検」アプリ。学校との情報共有もスムーズに行える

さらに「広報誌管理」「記事作成依頼」というアプリも独自に作りました。従来、広報誌の制作は業者に頼んでいましたが、今年度は自分たちで作るため、管理用のアプリを用意したのです。

「広報誌管理」アプリでは、記事案や写真素材、進捗状況などを一元管理でき、またアーカイブで過去号の内容や経費などの情報も確認できます。

「写真や原稿など素材の紛失リスクがなくなりました。作業を見える化したことで新規メンバーが参画しやすくなり、次年度の引き継ぎも安心です。スレッド内でやりとりするので集まる回数も減り、作業効率もアップしました」(宮本さん)

実際のアプリの画面は、このようなものです。

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「広報誌管理」アプリ。打ち合わせ内容、デザインの共有URL、使用写真、入稿データや領収書など、あらゆる情報を集約

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「広報誌記事作成依頼」アプリ。「広報誌管理」アプリと連携している

「今回、広報誌の外注をやめて内製化したことで、印刷コストなどの費用を80%削減しながら、全号フルカラー化できました。作業量はやや増えましたが、何より『自分たちの手で広報誌を作っている』という満足感があり、保護者に配布したときには『今年の広報よかったね』という声を聞くことができました」(宮本さん)

来年度は情報共有基盤として本格的に展開予定

1年目のこれまでは試験的にkintoneを使ってきましたが、2年目からはいよいよ、育友会全体の情報共有基盤として展開する予定です。

「来年度は"普及フェーズ"ですね。まずはツールの権限設定を見直して最適化します。行事運営にもうまく取り入れていきたいですし、学校側との連携も進めていきたい。あと、これまでの運営は私が中心に動くことが多かったので、今後は脱属人化して、いろんなメンバーに参加してもらえる組織にしていければと思っています」(宮本さん)

このほか、役員会や委員会へのオンライン会議の導入や、いま課題となっているクマ対策、集団登校、グラウンド整備(奉仕作業)などを管理するための独自アプリの拡充も考えているそう。

また、現在は会議の議事録作成の一部にAIを使っているそうですが、「今後はkintone AIラボも活用していきたい」と宮本さんは話します。

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kintone AIラボ。開発中のkintone AI機能を提供している(kintone AIラボは2026年6月にkintone AIとして正式リリースする)

「最後にお伝えしたいことは、これです。『小規模PTAこそITが効く』」

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宮本さんの実感がこもった、締めの一言でした。お話しいただきありがとうございました!

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