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2025年10月22日

感覚だけに頼らない目に見える支援をキントーンで

特定非営利活動法人utagu



年齢、性別、障がい、特性など、すべて関係なく「目の前の人を幸せにする」ことをモットーに活動する、長野県長野市の特定非営利活動法人utagu(うたぐ)。今回は障がい福祉分野におけるキントーン活用事例を、utagu理事長 清水 由佳さん、多機能型事業所Re.co.(りこ)のICTを担当する後藤 誠貴(まさき)さんに、詳しくお話しいただきました。

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utaguでは通信制高校のサポート校、多機能型事業所Re.co.、訪問看護ステーションの3事業を行っている



2.self_introduction.jpg 後藤誠貴さん。元SEで新しいシステムが大好き。Re.co.の生活支援員として、障がいのあるかたへのICT指導などを行いつつ、法人全体のICTも統括する

「在宅であれば働ける」かたのテレワークを支援

utaguが運営する多機能型事業所Re.co.は、学習・就労型の福祉事業所です。現在は、障がいのあるかたの就労継続支援(B型)、就労移行支援、就労定着支援を行っています。

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長野市の中心街にあるビルを拠点に活動する


Re.co.の特色は、パソコン業務に強いこと。県内外に居住する「在宅であれば働ける」というかたがたのテレワークを支援しています。

4.about_reco.jpg テレワークでも、後藤さんらスタッフとオンラインで話しながら業務や面談を行える。朝礼もオンラインで、通所と在宅テレワークの利用者さんが合同で行っている

Re.co.という名前は、「Recovery(自分で生きる)」「Re-comfortable(心地よさをもう一度)」「Re-community(社会に帰り)」「Re-company(再び働く)」という4つの"Re"に由来しているそう。

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B型作業所として、イベントやサービスのパソコンを使ったDM送付代行、地元の商店街のかわら版作成、ポスターやチラシの作成、システムやアプリケーションのテストなど、パソコンの仕事を中心に手掛けています。

現場の願いをラクに実現できる

そんなRe.co.のICTを統括する後藤さんは、当初キントーンを「便利なエクセル」くらいのものだと思っていたそう。でも、使ううちに違いに気づき、どんどんその魅力に取りつかれていきます。

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「実際の現場に合わせて自分のオリジナルのアプリケーションを使えるし、誰でも使え、情報共有もスムーズにできる。現場の『こういうものがあったらいいな』を比較的簡単に実現できるので、いまではRe.co.にとってなくてはならない存在です」(後藤さん)

実際にキントーンが力を発揮しているのは、以下のようなケースです。

1)簡単項目追加

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「項目を簡単に追加できる」という点は、ノーコードツールであるキントーンならではの強みです。たとえばエクセルであれば、項目や列を一つ追加しようとするとシートごとに作業を繰り返さなければなりませんが、キントーンなら一度にすべての追加を行えます。

利用者さんごとの情報をまとめたページに、使えるソフトの項目を追加しているところ。
消去や項目名の変更も同様に、とても簡単に行える



2)支援記録が手間いらず

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日々発生する記録作業も手間なく行えます。面談時間や出席の記録など、以前はファイルが複数にわたってカウントが難しかったところ、キントーンで楽に集計できるようになりました。以前は1日5~10分かかっていた作業が、今は0分で済んでしまうといいます。

利用者の一日の活動を記録しているところ。出席数の集計や面談時間のグラフ化も簡単。一目で最新状況を把握できる


3)工賃の管理ができる

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利用者さんの工賃の管理にもキントーンが活躍しています。業務ごとに集計を行って工賃を向上させる計画を立てたり、提出書類を作成したり、時給一覧を出力したりすることが簡単にできるようになりました。

業務ごと、あるいはメンバーごとの工賃を一発で確認できる



4)実務担当者ならではのアプリ作成

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キントーンはアプリの作成が非常に簡単なので、実務担当者も現場ならではの発想を活かしたアプリを作れます。たとえば、相談支援員の一覧を見られる便利なアプリを作ったのは、当時在宅ワークで育児中のスタッフだったといいます。

「そのかたは、もともとはそれほどICTに精通していなかったのですが、今はだいぶわかるようになって、『それ、めっちゃいいじゃないですか!』と僕が驚くようなものを作れるようになっています」(後藤さん)

11.who_makes_kintoneapp.jpg 相談支援員一覧アプリでは、各利用者さんにどの相談支援員がついているかの確認もできる


utaguでキントーンを導入したことによるビフォー&アフターは、こんな感じです。

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まず、以前は活用されていなかった記録が、今はキントーンのグラフ機能で「見える化」できるように。これにより、面談が不足している利用者さんや、工賃の向上が必要な状況を見つけやすくなり、今後の作戦を立てやすくなりました。

そして、以前はひたすらコピペで行っていた工賃の領収書の作成も、帳票の自動集計ができるようになったため、印刷ボタンを一度押すだけで済むようになりました。

「帳票はキントーンのフォーム画面でつくり、印刷を簡単にできるプラグインを使っています。ほかにもプラグインはたくさん使っていますが、うちで使うのはどれも無料のものばかり。プラグインを上手に使うのがキントーンの肝かなと思います」(後藤さん)

行政に報告するための集計作業にも毎年大変手間がかかっていましたが、今は毎日の記録さえちゃんとしていれば、だいぶ少ない工数で済むようになったとのこと。

また、以前は難しかった利用者さんの体調の推移確認も、レコードで記録することで、いつでも自己確認できるようになったそう。

さらに、以前は管理しづらかった大量の日報ファイルも、今は一つのアプリにまとまっているので、以前の状況をとても簡単に見られるようになったといいます。

「これだけのものを、チーム応援ライセンスなら年間9900円という破格の値段で利用できるので、非営利団体は特に『使うしかないでしょ』ってすごく思います。こんな便利でいいものはない」(後藤さん)

今後は「個別支援計画」もアプリで管理したい

後藤さんは今後、障がい福祉サービスにおける「個別支援計画」をキントーンのアプリで管理したいと考えています。考えられる主なメリットは、以下の4つです。

12.plan_to_build_personal_support_plan_app.jpg 13.merit_to_build_new_app.jpg

1)モニタリング会議やアセスメントの結果もアプリで一元管理できる
2)支援記録と自動連携させることで、利用者さんの状況をより確認しやすくなる
3)簡単にフィルターを立てられるので、過去の膨大な記録から必要箇所をすぐ見られる
4)ブラウザでも閲覧できるので、テレワークや訪問時にもすぐ見せられる

utaguでもキントーンの導入&運用後の支援を行っているので、「お声かけいただけたら」と頼もしく話す後藤さんでした。

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