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親と離れて暮らす子どもたちの巣立ち支援──多様なステークホルダー850名との協働を支えるキントーン【認定NPO法人ブリッジフォースマイル】

  
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非営利向けのIT活用交流会「チーム応援カフェ」で語る認定NPO法人ブリッジフォースマイル理事長の林恵子さん

認定NPO法人ブリッジフォースマイル(以下、ブリッジフォースマイル)は、親と離れて暮らすすべての子どもが笑顔で暮らせる社会を目指し2004年に設立された団体です。東京、佐賀、熊本に拠点をおき、子どもたちの巣立ち支援、子どもを支える大人を増やす「伴走者の育成」、子どもを支える社会をつくる広報や啓発活動に取り組んでいます。

2020年より事務局スタッフ、ボランティア、児童養護施設職員と約850名でキントーンを使い始めたところシステム費を大幅に削減できたうえに、多様な関係者との協働が楽になったといいます。ブリッジフォースマイル理事長の林恵子さん、キントーン導入の伴走支援をしたhug-lumaの二河等さんに、導入前後の変化や定着の工夫について伺いました。

キントーン導入でシステム開発費800万円が0円に

ブリッジフォースマイルでは、ボランティアと事務局スタッフが情報を共有するために、2009年からOpenPENE(オープンピーネ)でつくった団体内SNSを使用してきました。

しっかりと情報を管理せねばと、2013年にはセールスフォースも導入。10人までは無料ということでしたが、少しずつ事務局スタッフが増えて40人規模になり、様々なサービスに年間200万円ほどがかかるようになりました。

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さらに全国600ほどの児童養護施設の退所者調査のシステム開発に800万円をかけることを検討していた2019年秋、NPOは900ユーザーまで年間9,900円で利用できるキントーンの存在を知り、導入の検討をはじめました。

キントーンを導入して、用途に応じたアプリを自分たちで構築できるようになり、結果的に退所者調査の新たなシステム費用は0円で済みました。児童養護施設職員にユーザーアカウントを付与し直接アンケートアプリに回答してもらうことで、データ入力作業も省くことができました。

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ボランティアの活動、研修、ポイントの管理も簡単に

導入後、ボランティアのコミュニティとして使っていた独自のSNSは廃止。キントーンに様々な情報管理やコミュニケーションを集約することにしました。

以前はテキストベースのやり取りで、事務局スタッフがSNSからSalesforceへ転記する手作業が発生していました。作業が煩雑で、漏れも多く、情報過多の問題も起きていました。

キントーンを使うことで、ボランティア自身が活動や研修への参加申し込みを直接できるようになりました。事務局スタッフも、ボランティアの出欠管理や、活動に応じたポイント付与を簡単に管理できています。

キントーンの基本機能であるスペースや宛先指定、通知機能を使うことで、伝えたい人に伝えたいタイミングで情報を知らせることができ、不要な情報を減らすこともできました。

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メール配信についても、キントーンとメールワイズを連携し、研修に参加申し込みをした人や課題を未提出の人を絞り込んでメールを送れるようになりました。 メールワイズは1回1000名までなので1万3,000通のメルマガ配信については、キントーンとSendGridを組み合わせて利用しています。キントーンと連携するフォームブリッジやドキュトーンといった、キントーンに連携できるプラグインも活用しています。

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キントーンの導入によって、年間200万円かかっていたシステム費用は140万円の削減に繋がりました。元SEでフローレンスの情シスをしていたhug-lumaの二河さんによる導入コンサルに大変助けられました。

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子どもたちのプログラム参加管理も簡単に

子どもたちの支援プログラムへの参加申込管理も楽になりました。かつてはFaxでのやりとりが主流で、メールでもやり取りの煩雑さや、漏れやダブりの多発などの問題が起きていました。電話での対応も頻繁に発生していました。

キントーンで児童養護施設職員がデータ登録や参加申込、内容の確認を直接できるようになったことで、効率的に情報を管理し、事務局負担を軽減することができました。

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誰でもできる運用でデータ活用がスムーズに

団体内にはシステム専任の者はいません。システムがわかるスタッフが支援職など本業の片手間に担当していました。結果2名に負担が集中してしまい、高度な分析ができる機能も使いこなせずにいました。キントーンを導入してからは、事務局の誰もがアプリを作成できるようになりました。「自分でできることは自分でやってね」というのが基本スタンスになっています。

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システムの整理で社会問題の解決を加速(伴走支援のhug-luma 二河等さん)

元々のブリッジフォースマイルの業務システム構成を図示してみると、非常に複雑なものになりました。関わる子どもたちの情報、施設、ボランティアの情報を効率的に活用していきたい、というお話でした。

現在では、林さんだけではなく、事務局スタッフのみなさんが仕組みを理解して、必要に応じてアプリを使いこなすようになっています。

勤怠管理などのメインのアプリを私が直接作成していたのは最初の3〜4か月くらい、その後は事務局の皆さんがご自身でアプリを作っていました。私がコンサルで入るときに気をつけているのは「属人化の排除」です。特にこういった非営利法人にシステムを専任でできる方を配置するのは非常に難しく、皆さんがWord、Excel、PowerPointのように日常的にキントーンを使いこなせるようになる、というのが一番の課題だったと思います。

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伴走支援のhug-luma 二河等さん。認定NPO法人フローレンスの働き方革命事業部でキントーンの事業への導入や設計・運用を担当後、現在人事部門でスタッフの採用と育成を担当。NPO法人きみたすの理事として、非営利法人や中小企業の支援活動もしている。

私は業務を整理したりシステムの構成図を書いたりというのは「きっかけ」に過ぎなかったと考えています。時には壁打ちをし、手も動かしながら、事務局の皆さんと一緒に実務ですぐに活用できるアプリを作っていきました。

ブリッジフォースマイルではキントーンの標準機能をあますところなく使っています。データを管理するだけでなく、気づいてもらうための通知、アクセス権限の適切な運用、機密性の確保などを実現しており、皆さんが仕組みを理解してアプリを作っているところがすごかったなと思っています。

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多様なプロジェクトの入り口になっているキントーンのポータル画面

キントーンで大事なことは、各非営利法人の本来やるべき事業、業務に注力するために、システムを属人化させない、そして、パッケージシステムではないので、柔軟に性質を変化させられることだと思っています。

皆さんのやりたい事業があり、助けたい人がいる、というのが根幹だと思いますから、そこに合わせて自分たちが情報をどう管理していけばいいのかということを、ゼロから仕組みを考えて効率的に管理することができます。

情報の入口と出口の両方をしっかり整えていけるのが、キントーンの良いところだと思っています。ゆくゆくは少人数であっても、安心安全に情報を管理して、効率的に事業を回していけるといいと思っています。

私自身もフローレンスというNPOに所属しながら、社会問題の解決にシステムをどう活用していけば良いのか学んでいった一人です。非営利法人には営利法人と違い競合もなかなかないと思います。皆さんがノウハウを活用して、社会問題の解決がもっと加速していけばいいという思いで、hug-lumaという名前で様々な法人を支援させていただいています。

交流会参加者からのご質問

Q. 会員に年配の方が多く、パソコン使えない方もいるが、そういう場合にうまいサポートの仕方はありますか?

A. レクチャーを何回もやりました。新しいボランティアさんにはオリエンテーションの際に丁寧に画面キャプチャを使って説明して、わからない人向けにZoomでフォローアップするなどして態勢を整えています。

Q. 児童養護施設へのキントーンの導入でご苦労された点、工夫された点はどこですか?

A. A. 施設の情報をどこまでブリッジフォースマイルに管理させるのか、というセキュリティがまず課題になりました。ご理解を得るためのご説明をしました。また使い方についても、わからない方には電話やZoomでサポートをメンバーが頑張りました。

他にも様々な質疑が交わされました。 ブリッジフォースマイルさんと二河さんのご登壇の様子は、動画でもご覧いただけます。