孤立しがちな親子の食事・育児・学習支援の訪問サービスとクラウド活用【NPO法人バディチーム】
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子育て支援・虐待防止・里親支援を目的とするNPO法人バディチームは、東京都や特別区の委託事業を中心に、18名の事務局スタッフと約80名の子育てパートナーで子育てに難しさのある家庭や里親家庭を訪問し、保育、家事、送迎、学習を手伝い、親子の話を聴き寄り添っています。
虐待通告の増加や新たな区児相の開設と共にニーズが広がっている訪問型サービスとクラウド活用について代表の岡田妙子さん、事務局の村田裕子さん、井上優介さんに伺いました。
子育ての負担を軽減し、孤立を解消する
─事業について教えてください。
様々な事情や背景により子育てが大変になっている家庭へ、訪問型の支援を行っています。 現在は養育支援、里親家庭支援、食の支援の3つの柱があります。
─どのような方が活動しているのですか?
子育てパートナーと呼んでいるバディチームのワーカーさんは、一般から募集しています。学生から60代まで男性も女性もいます。
保育、福祉、心理、教育の資格をお持ちの方で兼業している方もいれば、まったくそういう背景はないけれど子どもたちのためになりたいという方まで80名ぐらいいます。
東京の14区から委託事業を受けていますが、ニーズにおいつかないくらいです。子育てパートナーが足りないところもあり、私たちも企業に説明会を開いたり寄付を募ったりいろいろな形でアプローチしています。
その流れで里親会に説明にいったとき、実は里親も大変なのだと会長さんにききました。 子育てにいっぱいいっぱいで里親から里子への虐待リスクもあるぐらいという話もききました。
そこから里親さんの子育て支援もできないかということで、モデル的事業をたちあげました。2012年からは都の委託事業となり、2020年度からは区児相が新たにできたことから区の委託事業も行っています。
代表の岡田妙子さんは看護師・保健師。虐待の後遺症に苦しむ方との関わりや、出産・子育て経験をとおし家庭を訪問し支援を届けることが大切だと感じ2007年にバディチームを立ち上げた。
区児相になったことで、区からの呼びかけで地域住民の中に里親さんへの関心や理解が広がっています。里親になるのは大変だけれどサポート支援ならできるという方がバディチームの子育てパートナーになってくれています。
里親さんの体調が悪いときや委託から間もなくお子さんとの時間を重視したいというときなどに訪問支援に入ります。
温かいご飯をつくり寄り添う"おうち食堂''
江戸川区のおうち食堂、世田谷区のおうちDEぽかぽかクッキングという家庭に訪問し食材の準備から調理、片付けまで無料で支援する取り組みの運営管理をしています。
子ども食堂が盛んになってきましたが、子ども食堂にいけない家庭がたくさんあるということで2017年に江戸川区がスタートしました。2019年から世田谷区でも行っています。
困っている家庭はたくさんあり、支援のニーズは高く、子育てパートナーも地域の支援員さんも絶賛募集中です。
メールの対応状況をいっぺんに把握
──サイボウズのクラウドサービスを使うようになったきっかけは?
きっかけは、メール共有からでした。メールで利用者や子育て支援パートナーとやりとりしていたのですが、とくに担当を決めず誰もが対応するようにしていました。
個人ごとのメーラーで送信時に、共有メールアドレスを宛先にして送ったメールもみられるようにしていたのですが、それでは受信メールが増えてしまいます。
どこまでが対応したかは送信メールを1個1個クリックしてみていく必要が生じていて、「これはやりにくいよね、どうにかならないか」と。
「いっぺんにどういう風に対応しているかわかるのがあるといいよね」と探していたら、まさしくその機能を備えたサイボウズのメールワイズがみつかったんです。
ちょうどNPO向けの特別価格が始まったころでした。試しに導入してみたら、「これはいいや!」となりました。
メールワイズの画面、状況や担当者でメールを分類している
いまは、メールワイズなしではという感じです。メールの状況を色分けしていますが色が足りないくらいです。
全員が週5勤務ではなく週3日のシフトの人もいます。引き継ぎに以前は長い文章を手書きで残していたのが、メールワイズならメールにコメントをつけられるし、タグもつけられます。
テンプレート機能もたくさん使っています。電話対応の履歴もメールワイズに記録しています。以前は付箋でやっていたのですが、メールワイズなら後からみることができますし複数人と共有できます。
メールワイズの画面、対応について担当者と確認者がコメント欄でやりとりをしている
キントーンでデータや報告、ノウハウを共有
─キントーンはどのように使っているのですか?
キントーンは子育てパートナーさんのデータベースやタスク管理、全体、事務局、各事業の確認事項の共有や会議の報告に使っています。コロナ対応の事例の積み重ねもキントーンで管理しています。コロナ対応についてもシーン別にノウハウを共有していて助かっています。
当初は、誰がどこを訪問するかをエクセルと用紙でやっていたので、シフト調整ができたらいいねとキントーンを導入しました。
キントーンのポータル画面。チームごとの共有スペースを設けている。
─メールワイズとキントーンは連携して使っているのですか?
はい。メール履歴がキントーンにひもづき状況変化が把握しやすくなりました。子育てパートナーさんの説明会や研修の参加についてキントーンで確認できます。
離れていてもスケジュールが組める
─「サイボウズ Office」も使っているのですか?
使っています。以前は、ホワイトボードや手帳を併用していたのですが、予定はすべて「サイボウズ Office」にいれています。
事務局スタッフは、現場支援や区の会議で事務所にいないことも多いんです。オフィスも2階と9階と離れています。同じところにいなくても予定を組めるので役立っています。会議室の予約にも使っています。重複が防げて便利です。
「サイボウズ Office」のスケジュール画面─今後の展望について教えてください。
行政の訪問を拒否していた家庭も「ごはんを作ってくれるなら来てもよい」と、バディチームの子育てパートナーの訪問は楽しみにしてくれることがあります。高齢の子育てパートナーさんを労りよい関係をきづき、アドバイスをきいて実行してくれることもありました。嬉しい時間を共有できる訪問型の子育て支援の可能性をもっと広め、活動を充実させていきたいです。
官民の連携、地域の力を活かして、大変な状況にある親子を支える活動が社会に広がることにも力を尽くしていきたいと思います。
─虐待予防につながる子育て支援にサイボウズのクラウドが今後もお役に立てれば幸いです。貴重なお話をありがとうございました。